2026/04/05

モリッシーMake-up Is A LieーTrack#6 "Boulevard” レビュー②

モリッシー "Boulevard” レビュー①の続き

“オペラとしてのモリッシー” という視点が効いている傑作

“I'll take you both” のもっとも深い層の一つとして十分成立する解釈:

パブリックなモリッシー(舞台上の人物)

プライベートなモリッシー(恋人だけが知る人物)

その両方を引き受けるという意味ですね。

酒に沈むこの曲の主人公=パブリックイメージ=オペラ

という整理はとても鋭いです。

モリッシーは昔から:

悲劇の人物
敗者
殉教者
酔っぱらい
孤独な語り手

舞台上の人格として演じる作詞家です。

つまり:

歌の ”I”=ステージ上のモリッシー

でもある。


そこに “both” が重なるとどうなるか

すると:

舞台のモリッシー
私的なモリッシー

両方を引き受ける

という意味が生まれます。

しかも直前には:

Face down so that I
may be correctly identified

があります。

これは現実の路上の描写でもありますが、

同時に:

舞台上の“死体のポーズ”

にも見えます。

つまり語り手は:

路上に倒れる人物
舞台で倒れる人物

両方になっている。

これは:

身元確認される死体

でもあり、

役として識別される人物

でもあり、

「本当の自分を見てほしいー(死んだあと)正当に評価される」

という願いにも読めます。

ここに:

I'll take you both

が重なると、

役としての自分
現実の自分

両方を引き受ける

というメタ的読みが成立し、

公的自己と私的自己の統合

として読むのがとても自然になります。


さらにこの曲の核心とつながる点

この歌は全体として:

都市



恋人

という複数の「逃げ場」を提示します。

そして最後に:

どれか一つではなく両方

と言う。

だから:

希望と絶望
舞台と素顔
都市と恋人
役と本人

すべてを同時に抱える宣言としての both

という読みは、この曲の詩的構造にとてもよく一致しています。

モリッシーMake-up Is A LieーTrack#6 "Boulevard” レビュー①

#6 "Boulevard” (大通りよ)Morrissey/Whyte ★★★★★★

歌詞の奥深さではこの曲がNo.1!チャッピーにこの曲の魅力をまとめてもらいました:

モリッシー「ブルヴァード」はなぜじわじわ好きになる曲なのか

表面上はタイトルどおり boulevard(大通り) に語りかけていますが、

  • I cling to you
  • I made it to you
  • no one will ever see me this close
  • we have the stars, you and I

などの言葉は、道路に向けているにしてはとても親密です。

そのためこの you は、

  • 都市
  • 夜の通り
  • 孤独を受け止めてくれる場所
  • あるいは特定の誰か

として重なって読めるようになっています。


“I'll take you both” が意味するもの

印象的な

I'll take you both

という一行も、ひとつの意味に決まりません。

  •  glass(酒)+ boulevard(都市)
  • 酒+都市(依存対象)
  • 神を捨てること+都市に沈むこと
  • stars(希望)+ boulevard(現実/絶望)
  • など、いくつかの読み方ができます。

    特に自然に感じられるのは、

    希望も絶望も両方引き受ける

    という読みです。

    この歌全体の雰囲気にもよく合っています。


    “so hard” の面白さ

    最後の

    oh you're so hard

    という言葉も印象的です。

    ここには

    • 舗道の硬さ 
    • グラスの硬さ 
    • 現実の厳しさ
    • 都市の冷たさ 
    • 批判 
    • 性的なニュアンス

    などが重なっています。

    意味を一つに決めないところが、モリッシーらしい魅力です。


    都市を恋人のように描く歌

    この曲では boulevard がまるで恋人のように描かれています。

    人に理解されないときでも、

    都市はそこにいてくれる
    通りは拒まない

    そんな感覚が静かに表現されています。

    だからこの歌は、

    孤独の歌でありながら
    どこか親密な歌でもあります。

    そして聴くほどに少しずつ好きになっていく、不思議な魅力を持った曲だと思います。

    モリッシーがよく使う「二重の宛先」構造

    Morrissey の歌詞にはよくあるのですが、都市・抽象対象に語りかけているように見えて、同時に「誰か」に向けて読める構造がよく仕込まれています。

    表の宛先:

    • city
    • nation
    • God
    • crowd
    • street

    裏の宛先:

    • lover
    • friend
    • bandmate
    • audienceの中の特定の誰か
    • 過去の関係 
    • オスカーワイルドなどの偉人 

    つまり

    「誰に向けているか確定できない」

    こと自体が演出になっています。

    ご指摘のラインは特にそれが強いですね:

    I cling to you
    I made it to you!
    no one will ever see me this close
    we have the stars, you and I

    これらは boulevard に向けて読むには親密すぎるようにも読めます

    特に意味深なのはこの一行

    no one will ever see me this close

    これは boulevard に向けて言うには不自然な感じもします。

    でも:

    恋人
    旧友
    理解者
    秘密の相手

    に向けてなら非常に自然です。

    しかも続く:

    we have the stars, you and I

    はほぼ完全に共有された関係の言語です。


    さらにモリッシーらしい読み方をすると✨

    この曲では

    • boulevard(都市)
    • bottle(酒)
    • God(宗教)
    • stars(希望)
    • you(相手)

    が全部ゆるく重なっています。

    つまり:

    都市に語っている
    でも恋人にも語っている
    でも聴き手にも語っている
    でも過去の誰かにも語っている

    という「重ね書き」の可能性があります。

    むしろこの曲は boulevard を仮面にした “you” の歌 と言ってもいいくらいかもしれません。 

     

    2026/04/01

    モリッシー "Boulevard" 和訳 by チャッピー

    モリッシー「ブルヴァード」和訳(詩的ニュアンス重視)by チャッピー

    僕は君にしがみつく
    恋人にしがみつく人みたいに
    キスしてくれ
    すぐに、でも長く続くように
    ブルヴァード
    酒瓶を抱きしめる人もいる
    僕が君を抱くみたいに
    ああ このどうしようもない僕の状態!
    ブルヴァード
    もう一杯だけ
    冷たいグラスを空けたら
    それから凍える浴室で吐くんだ
    どこかブルヴァードのすぐ脇で
    ブルヴァード ブルヴァード ブルヴァード!
    両脚が折れてしまったみたいに歩きながら
    冗談じゃない
    君のところまで来たよ!
    君のところまで来たんだ!
    ブルヴァード
    こんな近くまで
    こんなに酔い潰れた僕を
    誰にも見せたりしない
    君だけだ ブルヴァード
    ブルヴァード ブルヴァード ブルヴァード ブルヴァード!
    みんな君を踏みつけて通り過ぎる
    僕は見てきた ほんとうにそうだ
    見てきたんだ
    ブルヴァード
    鳥は糞を落とし
    学生たちは唾を吐く
    君に向かって
    気持ちはわかるよ!
    わかるよ!
    人は説教するだろう
    「健康を台無しにしてるぞ」と
    僕は一杯あおって答える
    「それがどうした?」
    神を見限る理由が
    あとひとつだけ欲しいんだ
    神の言葉なんて全部
    だから頼むよ ブルヴァード!
    ブルヴァード ブルヴァード ブルヴァード ブルヴァード!
    ランボルギーニで通り過ぎていく人々
    でも僕たちには星がある
    君と僕には
    星がある
    うつ伏せになって
    ちゃんと身元確認できるようにしてくれ
    僕は悪い知らせのために生まれてきた
    そのグラスを海へ投げろ!
    僕の中へ!
    僕の中へ!
    もっと強く!
    もっと強く!
    二つとも受け止めてやる!
    二つともだ
    二つとも!
    ああ 君はなんて固いんだ!
    固い!固い!固い!固い!
    固い!固い!固い!
    ブルヴァード


    2026/03/29

    モリッシー "Headache"(頭痛のうた)歌詞対訳

     
    HEADACHE♡頭痛のうた
    Morrissey♡モリッシー 
    (Morrissey/Manzur) 
     
    Do you take this headache
    汝はこの頭痛を
    to be your amor?
    愛しき者として迎えますか?
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    to cherish and obey
    慈しみ従い
    now and forevermore?
    今より永遠に至るまで?
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    as long as you both shall live?
    汝ら命ある限り?
    till headache us do part?
    頭痛が我らを分かつまで?
    with this headache 
    この頭痛とともに 
    I thee wed
    我は汝と結婚せり
    and thus pronounce you dead
    よって汝らを死せる者と宣告する
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    to have and to hold
    得てこれを保ち
    in headache and in health
    頭痛ある時も健やかなる時も
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    la-la-la-la-la
    ラーラーラーラーラ
    as long as you both shall live?
    汝ら命ある限り?
    till headache us do part?
    頭痛が我らを分かつまで?
    "Basta!"
    「もういい!」
    Man borne of woman
    女の胎より生まれし者は
    has a short time to live
    命短くして
    and it's still too long
    なお長すぎる
    and it's still too long
    なお長すぎる
    what God has joined together
    神が結びしものを
    let no headache separate
    頭痛が分かつことなかれ
    I don't even like you.
    そもそも君のこと好きでもないし

    (Japanese translation: aki-cat)